☆ミュージカル『モーニング・タウン』(1)

2002年5月24日(金)〜6月23日(日)の1ヵ月間、青山劇場で開催されたモーニング娘。
のミュージカル『モーニング・タウン』。
今回は第一部『行け!夢ヶ丘商店街』と第二部『時給720円!青春見習い中』の2部構成
で、最後にはミニライブも楽しめる約3時間。
当初はわざわざ東京まで出かけてまで観るつもりはなかったのですが、第2部の主役が
紺野さんだと聞いていても立ってもいられなくなり、思い切って出かけることにしました。
私が座ったのはなんと前から3列目。しかも、紺野さんの姿を堪能するにはうってつけの
向かって右側。青山劇場は比較的小さな会場なので、ステージと最前列の距離はわずか
1mくらい。ですから、3列目でもステージはほんの目と鼻の先、といった感じです。
ここに座ったことで、思いがけないことを体験することになりました。


さて、まずは劇場へ入る前にいくつか気になったことを挙げておきましょう。
青山劇場の前ではパンフレットや関連グッズを販売しています。パンフレットなんて、値段
のわりに味もそっけもないという声をよく聞きますが、今回のパンフはお金に余裕があれば
ぜひ買っておきたいアイテム。写真はなかなかいい味を醸し出していますし、各メンバーの
手書きのプロフィール(まさに履歴書といったレイアウト)もいい感じ。紺野さんの名前の由来
もわかりますし。ファンなら2000円の価値は充分にあると思いました。
入場の際には、厳しいチェックが待ち受けています。以前に不正があったらしく、チェックが
厳しくなったようです。疑われるようなものは、最初から持たないようにしておいたほうが
いいですね。カバンの中は最初からすっからかん、という人もいました。コインロッカーに
中身を預けておいたのかも。まあ、これは極端な例ですが、気をつけておきたいものです。
かくいう私は、モバイルパソコンを預ける羽目に。正直なところ預けるのが不安で仕方が
ありませんでした。


第一部 『行け!夢ヶ丘商店街』
出演は飯田圭織、安倍なつみ、吉澤ひとみ、加護亜依、高橋愛、新垣里沙。
主役は安倍さんと言ってもいいでしょう。
寂れていく一方の商店街に住む団子屋の娘・なつみはケーキ屋を開くのが夢。頑固一徹な
父親(演じているのは長江健次さん!)を説得して、団子屋を改装しようと考えた彼女は、
同じ商店街の娘たちと一緒にある計画を練るのですが・・・。

のっけから商店街の人々に扮したダンサーたちが舞台狭しとばかりに踊りまくり、意外に
本格的なんだなあ・・・とびっくり。回転するセットはシンプルながら、狭いスペースをうまく
活かして効果的に見せていますし、何より、脇を固める舞台俳優さんたちが手堅い仕事を
していて、「ああ、きちんとミュージカルになってる」と納得させられました。中でも銀行員の
トオルちゃん役の野沢トオルさんは前から気になっていた俳優さんだったので、生で観る
ことができてちょっと得した気分。第一部は、こうした俳優陣のサポートが光るミュージカル
と言えるでしょう。
ココナッツ娘。の2人や稲葉貴子さん、石井リカさんも出演していて、それぞれにぴったりの
役柄を好演。いちばん目立っていたのは何といってもおなじみのアフロのカツラで登場した
稲葉貴子さんですが、石井リカさんが地味な役回りながら危なげない演技を見せていて、
好感が持てました。

さて、肝心のモー娘。の6人ですが、主役級の安倍さんの他は、加護ちゃんがおっとりした
女の子役としてコメディリリーフを務めて目立っていました。
他の4人のうち飯田さんを除く3人は加護ちゃんとセットで「近所の女の子4人組」といった
扱い。出番はかなり多いのですが、際立ったところはあまりなかったように思います。高橋
さんは建設的な意見を述べるメガネっ子という役柄でそれなりに映えていたものの、吉澤
さんや新垣さんはちょっと微妙。特に新垣さんにはこれといった見せ場もなく、彼女のファン
にとっては寂しい限りでしょう。
飯田さんはソロで歌うシーンもありながらあまり目立つ役柄ではなく、完全に脇役に徹して
いる感じ。それが何だか気の毒でした。ちょっと咳き込んでいたのも気がかりです。

それにしても、あのケーキ、食べてみたいなあ・・・。
私、正直にいうとモンブランは苦手なんですけど(^^;


第二部 『時給720円!青春見習い中』
出演は保田圭、矢口真里、後藤真希、石川梨華、辻希美、紺野あさ美、小川麻琴。
後藤さんが主役、という声もありますが、どう見ても主役は紺野さん。およそ1時間の舞台
ですが、いちばん出番が多く、ほとんど出づっぱりで大活躍しています。

舞台となるのはキッチンズバーガーというファストフードショップ。保田店長やアルバイトの
石川さんをはじめとする店員さんたちはみんなカッコいい後藤主任に夢中。そこへ新しく、
保田店長の間違いで新人アルバイトの紺野さんが採用されることに。ところが紺野さんは
初日から遅刻するし、やることなすこと失敗ばかり。何をやっても「完璧です」、叱られたら
「ごめんなさい」を繰り返す紺野さんですが、何事も一生懸命に頑張る彼女の姿を見て、
周囲の人々は知らず知らずのうちに心を動かされていくのでした・・・。
そう、この役は紺野さんにぴったり。まさにハマリ役といえるでしょう。メンバーの誰よりも
セリフが多く、長いセリフも完璧にこなす紺野さんの姿は本当に感動的です。
特に重要なシーンのひとつに、橋(?)の上に立つ紺野さんが後藤さんと携帯電話で話す
シーンがあり、涙腺の弱い私は紺野さんの演技を観ているうちに涙があふれてきました。
橋の上を見上げながら涙をぬぐっていると、視線を落とした紺野さんがそんな私の様子を
見つけてしまったらしく、目が合った瞬間、私はあわててうつむいてしまいました。
目が合ったことはもちろんうれしいのですが、懸命に演じる紺野さんの邪魔だけは絶対に
したくなかったのです。
感動といえば、ゆっくりと回るセットの上で後藤さんが歌いながら、紺野さんを追うシーンも
感動的でした。あの歌は紺野さんのファンなら必聴と言えましょう。
私がこの物語で泣いたのは紺野さんのファンだから。全体的には笑いたっぷりのコメディ
で、ツボをおさえたギャグを楽しむことができます。紺野さんのキャラクターを活かした笑い
もたくさんあり、紺野さんのファンにとっては笑いあり涙ありの、まさに完璧なミュージカル。
もちろん、ファンというフィルターを取り除くと注文したい点はいろいろあるのですが、脚本
に注文をつける前に、新人アルバイトの紺野さんにオレンジジュースを注文したいです(^^)

さて、紺野さん以外のモー娘。たちに目を向けてみましょう。
後藤さんは男役。『ハロモニ。』での綾小路文麿さま役を見慣れている方なら、違和感なく
見ることができるはず。誰もがうらやむエリートながら、人間としてはまだまだ未熟な後藤
主任役は、なかなかさまになっていて好印象を持ちました。
保田さんと石川さんは出番も見どころも多く、なかなかお得な役柄といえるでしょう。特に
保田さんの演技は安定感があり、存在感もたっぷり。
途中、カントリー娘。がカントリー娘。自身の役で登場し、石川さんも飛び入り参加。会場
は大いに盛り上がりました。
矢口さんは後藤主任のフィアンセを名乗る社長令嬢役。出番が少なく、矢口さんのキャラ
を充分に活かしているとは言えませんでした。
もっと気の毒なのは辻ちゃんと小川さん。辻ちゃんにはまだ笑いを取る場面もありますが、
後藤主任の妹を演じる小川さんには見せ場もほとんどなく、唯一笑いを取れそうな場面も
不発に。最後のダンスではひときわイキイキと踊っていましたが・・・。

それにしても、間近で観る紺野さんの手足が想像以上に細くてびっくりしました。
おいしいものを食べるのが大好きですし、ぽっちゃりとした丸顔ですから、もっとまるまると
しているのかと思っていたのですが・・・ホントにびっくり。あんなにか細いのに、みんなの
ために一生懸命頑張ってるんだなあと思うと、ますます応援したくなっちゃいました。
物語の途中で紺野さんがソロで歌うシーンがあり、向かって右側、つまり私の目の前で
披露してくれたのですが、途中声がかすれてしまい、とっさに喉に手をあてる場面が。
これにはかなりハラハラしてしまい、これがまた私の涙を誘う結果に。
1ヵ月間、水曜日を除く毎日舞台に立つのですから、喉には相当の負担がかかるはず。
休めるときには充分休んで、無事乗り切ってくれることを祈るばかりです。

最後に紺野さんたち第二部に出演したモー娘。7人が一列に並んで観客に向かって手を
振るのですが、紺野さんは真ん中に立って両手で手を振り続け、幕が下り始めてからも
完全に見えなくなるまで、ずっと隙間から手を振っていたのが印象的でした。
さすがは紺野さん、本当にファンを大切にしてくれてるんですね(^^)


第三部 ミニライブ
第二部が終わり、短い休憩のあとに始まったのはモー娘。のシングルメドレー。
この日の観客はマナーのいい方ばかりだったようで、ミュージカル中は余計な声援で邪魔
することもなく、おかげで快適に楽しむことができたのですが、ライブになるとみんな一斉に
元気になり、コンサート会場にふさわしい熱気に包まれました(もっとも、アンコールのとき
に後ろを振り返ってみるとサイリウムの数はあまり多くはなく、札幌公演で生まれて初めて
体験したあの異常な熱狂ぶりと比較すると、ずいぶんおとなしい印象を受けました)。
曲目は次のとおり。


1 Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜
2 ハッピーサマーウェディング
3 ザ☆ピース!
4 恋愛レボリューション21
5 そうだ! We're ALIVE

☆アンコール
6 でっかい宇宙に愛がある


私はこのミニライブのために、紺野さんのうちわ(春のコンサートで販売されていたもの。
うっかり北海道から持ってくるのを忘れてしまい、ハロプロショップ渋谷店で購入)を用意。
向かって右側は前述のとおり、紺野さんの姿を堪能するには最適のポジション。3列目の
私は紺野さんが右側にくるとうちわを振って応援しました(他のメンバーが前に来たときは
うちわを隠して気持ち良くパフォーマンスできるよう気を遣いましたが・・・)。
3列目といえども前には2列もの人垣ができているので、うちわを振ってもそれほど目立つ
とは思えませんでしたし、後ろの観客のためにあまり高く振りかざすことはしませんでした
が、運よく私の前に隙間ができていたせいか、紺野さんは1曲目で早くもそれに気づいて
くれたようでした。というより、記憶力抜群の彼女のことですから、涙をぬぐっていた私を
覚えていたのかもしれません。
もちろん、こちらの勘違いという声もあるでしょうし、私も最初はそう思っていたのですが、
ライブの間、私の前に来るたびに紺野さんはこちらをチラチラ見ているような気がしました。
それまで「目が合った」という話には、単なる偶然じゃないの、と懐疑的だった私ですが、
そのとき初めて、信じたくなる気持ちが理解できました。
紺野さんの注目を浴びるのならうれしい限りですが、途中で疲れた私はふとわれに返り、
手拍子も中断。たまたまそのとき飯田さんが前にいて、ひとりテンションが低い私に気が
ついたのか、私が再び顔を上げると「何この人?」というような表情でこちらを見ていたの
には参りました。それこそ、私の勘違いだといいのですが(^^;
紺野さんの気を過剰にそらす原因になってはいけないと思い、『そうだ! We're ALIVE』の
頃になると、うちわを振るのも下火に。せっかくの機会ですからたまにはセンターに立つ
安倍さんたちもきちんと見ておこうとをしばらく観ていたのですが、ふと視線を紺野さんへ
と戻すと、紺野さんが「やっとこっちを観た」という表情をしたのには驚きました。
もちろんこれも私の勘違いかもしれませんし、あるいは一種のファンサービスのようなもの
かもしれませんが・・・。
私は周囲の観客と違って振りつけを真似ることもできず、ただひたすら手拍子するばかり
でしたが、『そうだ! We're ALIVE』も佳境になり、私も思い切って拳を上げました。
すると、紺野さんは「やればできるんですよ」とでもいうように、にっこりとうれしそうな笑顔
を浮かべたのです。そう、私も紺野さんのファンなら、「完璧です」と言って頑張らなくちゃ。
最後に右側から離れるときには、紺野さんは小さく手を振ってくれました。
それまでの視線や表情はすべて私の思い込みかもしれませんが、これだけは間違いない
でしょう(^^)
そして、この日の『モーニング・タウン』が私の心に一生残る公演だということも、どうやら
間違いはなさそうです。


・・・さて、千秋楽前日に思い切ってもう一度観に出かけました。
そのときのレポートはこちらです。